若いころからの農業をしたいという思いを実現するため相生市の農地付物件をご購入された浦邉様。神戸市に住み仕事中心のような生活から、田舎に移り住み平日はお仕事、週末は農業という大きく変わった今の暮らしについてお話を伺ってきました。


南北に長い地形から、南は海・北は山とどちらも楽しめる自然豊かな相生市。大きくぷりぷりとした身と濃厚な味わいが特徴的な牡蠣や伝統行事ペーロン競漕などが有名です。国道2号が通り、新幹線も停車するJR相生駅があることから交通至便な環境であり、田舎暮らしの移住地として高い人気があります。


●田舎暮らしをしようと思ったきっかけを教えてください。
田舎暮らしをしようというよりは、農業をしたかったんです。神戸で仕事をしているので、元々は神戸周辺の通える範囲が希望でした。都会だと畑は借りられても田んぼを借りるのは難しい。水の管理や当番もあると思うので、勤めをしながら田んぼが出来るのは移住が必要と考えるようになって、田舎暮らし物件を探し始めました。


●農業をしたいということがきっかけということですね!
若いころから作物を作ることには興味がありました。田舎出身なので農地は近くにあったけど、本格的な経験はなく、実力はないしどうしていいか分からないまま過ごしてきたのですが、5年前に、会社勤めを辞め自然農で自給自足のような生活をしているという先輩の話を聞き、生活を見たのを機に挑戦しよう!と。
「自然農がしたい」というのが大きなきっかけでした。
そのころ仕事のストレスで入院したことも重なって、体力のあるうちに早く始めたいという気持ちが芽生えてきました。
妻が昔のけがで膝の調子が悪かったので、適度な運動をできるように生活パターンを変えてみようかということもきっかけの一つですね。

●奥様は膝の調子はよくなりましたか?
農業などで筋力がついたのかましになってきましたね!
一時は歩くのも辛かったので…



●物件を気に入ってもらえたポイントはどこですか?
膝に少し不安があったので、平坦な地勢で農地が近いところが良かったですね。これなら、平日に私だけでも農作業が出来るなと思いました。
あと、家の状態が良かったのも決め手の一つですね。

●お家はリフォームされましたか?
手をいれたのは畳を入れ替えたのと局所的な白蟻被害があったのを処置した程度ですね。
1年程住んでみて、手をいれた方がいいかなと思うところが出てきたので、スローライフさんに相談させてもらって、薪ストーブの設置や浴室の場所移動を考えています。



●移住するにあたって不安や心配はありましたか?
地域の方とどう付き合っていけばいいのかですね。皆さんよくしてくださるので、地域行事などには積極的に参加して交流しています。昨日・一昨日とお祭りだったので、今日もお昼からお片付けをするんです。
後は、本当に田んぼをきちんと出来るのかも不安でしたね。
『自然農』というやり方は草を生やしてしまうので周りの方がどう思われるか。というのも不安の一つでした。ひと昔前では絶対に許されなかっただろうなと思いますが、そこそこ大目に見てもらっているのでありがたいです。
たまに、もう少し刈ってよ~と言われたりすることもありますけどね(^_^;)
私達の力不足もあるので反省もしながらご近所の方に迷惑をかけないよう気を付けています。



 


●実際に住んでみてどうですか?良かったことはありますか?
以前の暮らしとあまり変わらずに暮らせている事が良かったと思います。田舎だともっと大変なのかなと思っていました。
私は思い描いていた事がほぼ出来ているので良かったなと思います。田んぼも畑も好きなことが出来る。
今は週末しかできないので時間が足りないのが悩みですが、とても楽しく過ごせています。



●逆に、住んでみて困ったことはありますか?
大変なのは冬が寒いですね。
地元の方も小河の谷は他より寒いというくらい寒くて…
今年の冬は-7℃まで下がったんですよ。表の水道とトイレが1つ凍結してしまいました。
相生は海があって暖かいイメージでしたがこのあたりは寒いですね。相生駅前とは、2~3℃違うんです。
後は、作物を荒らすイノシシですね。近所の方が私の畑に一直線に入っていくのを見たと教えてくださって、新しく電気柵を設置しました。



●『自然農』とはどういった農業ですか?
『自然農法』との違いは?

『自然農法』とは福岡さんという方が提唱したもので、人間は手を出さずに自然の力で育てるのですが、天才的すぎて難しいんです(^_^;)
それを普通の人でもやりやすいように改良したのが川口由一さんの『自然農』、私達が挑戦している栽培技術です。三重県と奈良県の県境に川口さんが始められた『赤目自然農塾』があるので、夫婦で3年程通いお米の作り方を中心に教えていただきました。
「耕さない、草と虫を敵としない、肥料や農薬を用いない」をモットーに自然の営みにより色々なものが巡り、循環していくのを見守りながら必要な時に人間が手助けするんです。
草を全て刈り取ると虫達は作物を食べるしかなくなる、だから作物周辺の草は刈るけど全ては刈らない。土を耕すとそれぞれの深さで生きている生き物が死んでしまう。だから、耕さずそれぞれのエリアで働いてもらう。
ある意味、何もしなくていいんです。機械は使わないので手入れや費用も必要ない。スコップと鎌があれば全ての作業が出来るのですることが少ないと言えば少ないですよね。全て手でやるので大変ですけどね(笑)



●お米の脱穀なども手作業ですか?
ほとんどそうですね。刈りとるのも手作業だし、乾燥機は使わず天日干しで乾かしています。
もみを採るのは足踏み脱穀機で、古いものを探したけど見つからずに買いました。ゴミを飛ばす唐箕(とうみ)は古いものがいただけたのでそれを使用しています。
もみすりはかなり重労働なので機械で、精米も売主様が置いておいてくださった精米機で行っています。
お料理や気分で白米にしたり、玄米にしたり、分つき米にしたり使い分けています!



 


●今はどのような作物を作られていますか?問
大きな田んぼを半分に分けて、田んぼと畑にして使っています。
お米は6畝で、うるち米のあけぼの・やまびこ・陸稲農林21号と古代米の御神米・赤目の赤米と『自然農法』の福岡さんが作られた『ハッピー(福)ヒル(岡)』というもち米、タイ米の計7種類ですね。畑部分では、豆類、えごま、赤しそ、とうもろこし、にんじん、にんにく、きゅうり、ブロッコリー、カリフラワー、水菜etc. たくさん作っています。
あと、相生の女性農家グループ「かあちゃんず」で、かつてさかんに栽培されていた相生野瀬かんぴょうを作ることになり、収穫数は多くはなかったですが、栽培から加工まで参加しました!



●お家で食べられるものは自家製ばかりですか?
お野菜はそれぞれに応じて世話をしないといけなくて難しいんです。まだまだトライ&エラーの状態で。
みかねたご近所の方がお野菜をおすそわけしてくださってます。お野菜を買う事はだいぶ減りましたね。

●では出荷はされていないんですね。
そうですね。
もともとお家の裏にある柚子の木の柚子は地区の女性グループ・ゆず製造組合で集めて加工しているので、それが唯一の出荷です。ほんの少しですが(笑)
ゆずみそやマーマレード、ゆずクッキー、冬にはゆず大福も作っています。



●今後、挑戦したいことや目標はありますか?
動物を飼育したいですね。ニワトリやヤギや犬・猫も!ニワトリは卵が目的です(笑)
山仕事もしたいですね。木を切ったり、しいたけ栽培をしたり、ミツバチの巣箱もつくりたいと思っています。はちみつは西洋ミツバチが多いのですが、ニホンミツバチではちみつを作りたいんです。
ニホンミツバチの方がさっぱりとしていて美味しいと思うんです。ハチが好きなお花を近くに植えて、来てくれたら嬉しいですね♪



●田舎暮らしを考えている方へのアドバイスはありますか?
何年か前よりは田舎の人が新しい人を受け入れてくれやすくなっているように感じます。今までに田舎暮らしをしようとして上手くいかなかった方から話を聞いて躊躇している方がいれば、ちょっと時代が変わってきているよと伝えたいですね。
積極的に関わるというのは必要だと思いますが、そういう気持ちがあれば以前よりも入りやすいんじゃないかな。来てくれてありがとうと言ってくださる方も多いですよ(^^)

●最後に相生市のおすすめを教えてください!
スローライフさんの親睦会で羅漢の里に初めて行きましたが、いいところだと思いますね。催し物も色々と開催されている様なので、また行ってみようと思っています。
ペーロン城の温泉もおススメです。気持ちいいですよ♪



今回のレポートは、平成28年に相生市矢野町の物件をご購入いただいた浦邉様ご夫婦にお話をお伺いしました♪
若いころからずっと農業に挑戦したかった。今は夢がかなって楽しく過ごしています!とキラキラした笑顔でインタビューに答えていただきました。
『自然農』初めて聞いた言葉でしたが、自然のサイクル、循環を壊すことなく、もともと持っている植物の生長する力を見守りながら適度に手助けするというお話を聞き素敵だなと感じました。取材中にご案内頂いた田畑では、色々な種類のお米やお野菜が実っており、ご夫婦が愛情をこめて育てられた様子が伝わってきました。
また、インタビュー中には自家製のお米とかんぴょうを使った炊き込みご飯のおにぎりをごちそうしていただきました。お米は食べる時に精米されるらしくとてもおいしいおにぎりでした♪
現在もお仕事をされていますが、お休みの日の農作業が一番の楽しみなんだそうです。挑戦したいこともたくさんあるとおっしゃっていましたのでまたお話を伺いたいです☆
浦邉様お忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございました!

取材日*2018.10.08