神戸市で多忙な日々を送られていた藤田様。やすらぎを求めてたまたま見付けた神河町の物件の豊かな自然環境に一目惚れ。ご自身で改装し、現在は薪窯でこだわりの食パンを焼き上げる古民家のパン工房をされています。開店前のお忙しい中、取材をさせて頂きました。


今回訪れた神崎郡神河町は、兵庫県のほぼ中央に位置するハート型をしたまちです。映画や大河ドラマのロケ地にもなった峰山・砥峰高原や6つの湧き水など、大自然に恵まれています。2013年5月現在のNHK朝ドラ『あまちゃん』のヒロイン・能年玲奈さん出身のまちとしても注目されています。


●田舎暮らしをしようと思った考えたきっかけを教えてください。
「出張で全国や世界を行き来したりと、働き詰めの日々を送っていました。あまりの忙しさの中で『お日様を見てのんびり暮らしたい』と思い、田舎暮らしを考え始めました。」
●どれくらいの期間をかけて物件を探されましたか?
「たまたまインターネットで田舎暮らしについて検索したらスローライフさんが引っかかって、ホームページを見て『この物件いいな』って思ったんです。現地案内してもらって、宅内へ入る前に周りの環境を見て『買う!』って決めましたね。仕事が忙しくて時間もなかったので、探したと言っても僕の場合はほんの数時間ですね(笑)」


●気に入ってもらえたポイントはどこですか?
「周りに家がなくて、山があって田園風景の中にぽつんと建っている緑に囲まれた環境ですね。」
●改装はご自身でされたそうですが、どうでしたか?
「床は腐って底が抜けていたり、傷みが激しくて全面的に改装しました。柱や梁の抜き換えの時は屋根を持ち上げた状態で、1ヶ所に負担がかかったりするとぴしぴしと音が鳴ってひやひやしてましたね。最初の頃は休みのたびにここへ来ていましたが、改装に打ち込む為に仕事を辞めて、約2年かけて完成しました。挫折しそうになった時もありましたが費用も安く抑えられたし、諦めずにやり遂げてよかったです。」


●こちらでお店をされる予定だったんですか?
「ここでお店をするとかは予定になくて、ただのセカンドハウス程度で考えてたんですけど、改装に没頭していくうちに『完成したらここで何かしたい!コーヒーだけじゃつまらないから、薪窯で焼いたパンを一緒に提供する喫茶店はどうだろうか』と考え付いたんです。それで自分でレンガを積んだ薪窯を作ってみて今に至ります。」


●実際住んでみてどうですか?
「正直始めは嫌でした。改装時にベッドを持ち込んで寝たことがあったんですが、長い間空き家だったから夜になると見たことも無い巨大なダンゴ虫が出てきて…。安心して寝れる状況じゃなかったですね(笑)こっちへ来るにあたって快適さは求めていなかったので、不便な田舎でしか出来ないことを楽しんでますよ。今も神戸の自宅から通っているんですが、こっちへ来たら草刈りや(薪用の)木を切ったり、あれやこれやとすることがいっぱいで充実してます。夜になると星空がとても綺麗で、店の前にちょこんと座っているだけで自然が疲れを吸い取ってくれているような気がして、僕にとってここは心が安らげる基地ですね。」


●ご近所の方とのお付き合いはどうですか?
「お客さんから田舎暮らしに関していろいろ質問を受けるんですが、その中でも村のお付き合いについてはよく聞かれますし、やはり皆さん気になるところだと思います。ましてや僕なんてお店をするなんてごだごだがつきものだと思うんですけど、僕の場合はご近所の方にすごく協力してもらってます。毎日挨拶を交わしたり、お裾分けを頂いたりと、いいお付き合いをさせてもらってますね。店の看板をあげていなかったんですが、お客さんが間違えて違うお宅に行ってしまわないようにご近所の方が看板をあげてくれていたんです。お店をするにあたって応援してくれているし、すごく親切にしてもらってて本当にありがたいですね。」


 


●最後に、田舎暮らしや田舎でお店をしようと考えている方にアドバイスをお願いします。
「田舎では何もかも1から自分でしなければいけませんが、それが楽しくて仕方ありませんよ。『不便な生活を楽しむ。』それが田舎暮らしだと思います。まちでの生活に疲れたらほっと安らぎに来てもらって、田舎の良さをたくさんの方に知ってもらいたいです。で、田舎暮らしを満喫してもらいたいですね。田舎で地元の良さを活かしながらのお店は大変ですが、のんびりと充実した生活を送れて楽しいですよ。」


 


土木の専門学校に通っていた経験を生かして藤田様ご自身で改装された店内は、しっとりと落ち着いた空間でした。カウンター席や古民家ならではの畳の席で、4種の日替わりトーストと飲み物のセットメニューやお茶を頂けます。
手作りの薪窯で焼き上げる食パンは保存料、添加物、卵や乳製品、砂糖を一切使用していないと言うこだわりで、噛むたびに小麦の味わいを感じられます♪1日30本ほどしか焼けないので、早い時は午前中には売り切れてしまうそうですよ!当日10時からであれば、取り置きの予約が可能とのことなので確実に買うならば予約をおすすめします☆また、その食パンを使った大きなラスクも販売されていますので、こちらも要チェックです(*^-゚)
開店前のお忙しい時間にも関わらず、ご自身の経験を笑いを交えてお話して頂き、藤田様の気さくな人柄を感じました。ご近所の方だけでなく、ご家族も応援してくれているそうで、「今はお店で手がいっぱいだけど、落ち着いたら家族が泊まりに来れるスペースも作って行きたいとのことで、まだまだこれから周りの人の力も借りながらもいろいろなことに挑戦して行きたい」とおっしゃられていました。
1人でもぶらっと立ち寄れる緑に囲まれた安らぎのお店ですよ♪気になる方は是非、『丸藤』さんへ行ってみてくださいね(*^o^*)/

『丸藤』さん  兵庫県神崎郡神河町大山197-1

営業日:金、土、日、月   営業時間:10:00~16:00

TEL:090-3842-4643
※パンの予約は当日の10時から受付。

取材日*2013.5.20