昔からお花が好きで、花々に囲まれたカフェを営みたいという夢があった上杉様。移住された佐用町で、敷地内に年間300種類以上のお花を楽しめるステキなお庭がある「Jardin et cafe “えとらんぜ”」を経営されています♪また、地域の活性化にも力をいれられ色々な活動をされています。


兵庫県佐用郡佐用町の大撫山にある兵庫県立西はりま天文台では、公開用望遠鏡としては世界最大の反射望遠鏡「なゆた」で満天の星を観察できます。また、佐用町ではきれいな星空を守る取り組みがされており、夜になると満天の星が瞬き、「全国108の星空のまち」にも選ばれる星の都です。


●物件を探し始めたきっかけを教えてください。
以前から定年退職を迎えた後の第二の生活をどういう風に設計していこうかと考えていました。
定年退職前に、家内と2人で日本全国色んな所に花を見に旅行に行っていて、その先々で寄った古民家カフェをいいなと思ったんです。お店もいいけどこういう自然の中で暮らしてみたいっていう気持ちが徐々に芽生えてきて、回を重ねるうちにだんだんその気になって探し始めました。


●どれくらいの期間探されましたか?
1年ぐらいですね。枚方の家を中心にして初めは半径50km圏内、100km、150kmと少しずつ範囲を広げて。この物件にめぐりあってなかったらあきらめていたもしれません。
●物件を気に入っていただけたポイントはどこですか?
中古物件だとどれだけ補修とか修理をしたらいいのか素人じゃ判断できないから、多少の手直しで済むような物件を探していました。それと後は、庭が広いこと。田舎ならどこに行っても広いとこはあるんだけど、ここは敷地が塀で囲われてたので獣害がないことが需要に合ったんです。


●物件の手直しはされましたか?
補修は、外壁の漆喰を一部直したぐらいですね。家の中は客間として使う和室を板張りにして、壁を全部白で統一して塗ったり欄間を天井の色に合わせて塗ったり。まだまだしたいことはありますよ。
あと、庭づくりですね。ここは過去に水害があったので、まず水はけの処理から始めたんです。転居前に育てていた植物なども庭に移して少しずつ増やしていき、現在はバラを含め、年間300種類以上を手入れしています。



●素敵なお店ですね。
古いものを残しながらも現代的な茶の湯空間を作りたいと思っています。床の間であったり脇床であったり室内のしつらえには気を配っています。欄間も気に入っていて、雰囲気合うのランプを使いました。
お庭のお手入れは毎日してます。お花の写真を撮られるお客様も多いから、花が終われば花殻つみとかね。なかなか全部はできないんですけどね。
コーヒーは自家焙煎しているんです。銘柄は日替わりで変えているので、ストレートで飲むと来るたびに味の違いを楽しめますよ。


 


●移住するにあたっての不安や心配はありましたか?
特になかったですね。郷に入っては郷に従えっていうのがあるから、その地域でのルールになじんで常識をもって生活をすればトラブルはまず起きないだろうと思っています。
●実際住んでみて困ったことはありますか?
将来、インフラに対する不安があるってことですね。小学校が廃校になったりね。


●住んでみてよかったことはありますか?
自然の中で生活できるっていう人間本来の豊かさがわかったということですね。目の前にいつも緑があるっているのは心を落ち着かせますしね。当たり前のことだけど、夜に空を見たら星がちゃんと見える。朝起きて庭に出ると川のせせらぎや鳥の声が聞こえます。こんなに素晴らしい風景を毎日見られるっていうのはどれだけ贅沢なことか。


 


●地元の方との交流についてお聞かせください。
今は「山城(利神城)のガイド」と「ほっとネット373(移住者をサポートするNPO法人)」の活動に力を入れています。
ほっとネット373では、長距離を移動する大型の渡り蝶「アサギマダラ」を佐用町に呼び寄せる計画を進めているんです。好物となるフジバカマ(右写真)の植え付けを広げていってアサギマダラの舞う里にしたいと思っています。
※利神城跡は2020年6月現在、石垣の修繕を含めた保存整備中。2021年の春には整備完了予定。
※アサギマダラは海も渡ります。マーキングした蝶をSNSで投稿し移動調査をするネットワークもあり台湾や香港でも確認されてます。


●今後、挑戦してみたいことや、目標はありますか?
僕は山城だけじゃなくてまちのガイドもしているんですよ。ここの山や土地がどういうものか話したりしています。
ここに住んでいる自分たちが「この土地を守って発展させていきたい!」という意識を持ってこういう取り組みをどんどん大きくしていくと、もっと違うことも生まれて「田舎はおもしろいで!」となる。その仕組みを作っていきたいですね。

 


●佐用町のオススメスポットはありますか?
お店の周辺だと、宿場町平福、利神城、シャクナゲの里がおすすめです。佐用町では他にも、花菖蒲園、一本堂のしだれ桜、弦谷のカタクリ桜桃、ひまわり祭り、ホタル、江川の棚田、大撫山の雲海、飛竜の滝など四季折々の行事や風物詩が楽しめます。


●最後に田舎暮らしを考えている方へのアドバイスはありますか?
古い物件だったら、リノベーションを含めてどれぐらいのお金がいるかしっかり調べておく。
生活の面では、地域のルールに従う。出事にはきっちりと出るようにする。初めはやりすぎぐらいやってちょうどじゃないかな。

 


 


今回のレポートは、 平成29年に弊社で物件をご紹介させていただいた上杉様のところへお伺いさせていただきました♪さわやかなガーデンテラスでレポートに入りきらないぐらいたくさんの興味深いお話をしていただきました。地域の活性化の仕組みづくりのお話はとても面白く考えさせられるものでしたし、なんでも「やってみよう!」という行動への軽やかさはとても刺激をもらいました。
“えとらんぜ”は美味しいコーヒーと年間300種類以上のお花が咲くお庭、店内の装飾もステキなお店です♪店内ではコケやコケリウム用のガラスや焼き物の容器も販売されているのですが、焼き物の容器はお庭で焼かれたお手製ですし、床の間に掛けられたクリムトの絵も上杉様が模写されたものだそうです。季節の絵柄の合わせ貝や抹茶茶碗のコレクション等、昔懐かしい雰囲気もある寛げる空間です。佐用に行かれる際にはぜひ訪れてみて下さいね♪

*お店情報*
『Jardin et cafe “えとらんぜ”』
〒679-5331 兵庫県佐用郡佐用町平福459
TEL:090-6069-1435
営業日:水・木・土・日・祝日
営業時間:9:00~16:00
Facebook:Jardin et cafe “えとらんぜ”

取材日*2020.5.25