令和3年に宍粟市山崎町へ移住し、御飯屋さん「御飯と ちょっと三杯 渡邊」を営まれている渡邊様。
移住前は姫路市で居酒屋を経営されており、地元の子どもたちにサッカーを教える活動もされていました。山崎町への移住を機に、お米作りにも挑戦されています!自然豊かなこの地での暮らしについて、渡邊様にお話を伺いました。
兵庫県宍粟市は市域の9割を森林が占める緑豊かなまちです。豊富な自然資源を利用したアウトドアレジャーが楽しめるスポットが多く、四季折々の自然を満喫できます。
●物件を探そうと思ったきっかけを教えてください。
(ご主人) きっかけといいますか、もうずーっと探してました。大きな土地が欲しかったんで、田舎でも都会でも、ニューヨークでもインドでもどこでも良かったんです。私自身がサッカーをしていまして、グランドを作りたいというのもあったし、自分のところでみんなが集まる場所が出来たら一番素晴らしいな。と。
で、そういう物件をずっと探していました。
●探されていたときの希望条件は?
希望条件も同じですね。
それでいうと、この物件の隣に学遊館(※1)があったのも一つのきっかけかもしれませんね。それに、この物件は家の裏に広い土地があったのもありました。今はここでもボール遊びができるようになった。
希望条件として、そういうのはありましたが、田んぼは希望条件に入ってませんでした(笑)。
●どれぐらいの期間探しましたか?
10年です。
●物件の気に入ったポイントは?
やっぱりこう広く使えそうな土地があったから。それ以外のことは何も気にならなかったです。
(スローライフ) お店の集客のしやすさなどは関係なく?
全然(笑)。それは自分次第やろうと思ってました。
●移住するにあたって不安や心配はありましたか?
何もなかったです。もう自分がやれることをやって。どこ行ってもそれは一緒やと思うんですね。
●実際に住んでみてよかったことはありますか?
やっぱりのびのび大きく過ごせるところかな。
姫路におってものびのび住んでたし。どこに行っても一緒やと思うんですけど、自分の気の持ちようと、どうやって過ごすかが大事だと思います。
でもやっぱり子供らはのびのび遊べる。それはいろいろいいことがありますね。空気もキレイ、水もキレイ、星もキレイ。やっぱり遊びやすいですね。
(奥様) それに、良かったことはやっぱり、近所付き合いが増えたことです。
何か頂いて、こちらも渡して、また返ってきてとか、そんな交流がめちゃくちゃ増えた。
それでまた話もするようになりました。
●逆に困ったことはありますか?
困ったこと…私が飲みに行くところがない。個人的なしょーもない意見です(笑)。
いやいや。それは大切なことです(笑)。動物とかは?
それはいますよ。鹿やイノシシやアナグマやなんぼでもおって。その辺にフンやなんやとありますけど。それはもうね、動物が先やからね、俺らは後やからね。
●お子さんは学校まで歩いて行かれてるんですか?
バスなんです。なので困ってないですね。
たまに中学生がね、部活で遅くなるとか。朝早く行くとかは、まあちょっと送り迎えがあったりしますけどね。でもそこまでめちゃくちゃ遠い距離じゃないし。
逆に、3㎞やから歩けって思ってます(笑)。3㎞やったら歩いたほうがええ。そのほうが強くなるのに。6年間、 6キロ毎日歩いた方が絶対強くなる。そのほうがいいと思っています。
安全面はありがたいなと思いますね。心配しなくてもいいし。
場所次第ですよね。場所によっては相当離れているところもあるでしょ?それやったらバス使わなしょうがないですよね。その辺は(物件を探すときに)ちゃんと見といたほうがいいですよね。
うちもそれは見たかな。ある程度通える距離かな?って。
●物件のお気に入りの場所はありますか?
私はこの玄関先が好きです。玄関から入った時の、この広い感じ。(スローライフ:広くて吹き抜けになっています。)私はここが気に入ったかな。たくさん大きい家も見たけど、ここみたいな玄関先って見なかったんです。
●リフォームでこだわった点は?
店舗部分、キッチン(厨房)、店舗用のトイレの新設をされたんですね。
店舗部分では、やっぱりキッチンですね。お客さんをできるだけ見渡せるようにしました。それを変えたのが大きいですね。他はだいたい元のまま活かしてますね。
あと2階(居住スペース)をね自分でリフォームしたんです。ベースは大工さんにしてもらって、床はフローリングにして、壁と天井も塗って。きれいにできました!1階はお店の方なんで、何かあったらあかんから、やってもらったんですけどね。
それと、裏庭かな。裏庭は畑にしようかとも思ったけど、やめて、子供が遊べる場にしたのが良かったかな。元々農地だったから転用についてもどうかなって言われてたし、転用するのにお金もかかりましたが、それでもして良かったと思います。わざわざ転用せんでも、ここで畑造ったらええやないですか。収穫したらすぐ持ってこれてお客さんにもわかりやすくて。それもええなとは思ったけど、でも今はやっぱりこっちで遊べる方が良かったかな。
いつでも菜園にすることもできますしね。
そう。で、なんでも使えるから。それで子供も遊びに来てくれるし、ボール遊びをしたり、夏は子供用にプールを置いたり、流しそうめんをしたり、そういうことができるから。そういうのってやっぱり大きいメリットやなって。それはこだわりの大きなとこかな。
桜の時期には、お隣の桜を借景にして外でご飯を食べたりとかもあります。ちょっとテーブルと屋根を出して。(ス:その時々で設置されていればプールも外でのお食事もお客様にも提供されています。ご相談されてみてくださいね♪)
ちょっと犬を連れてこられてたら、ドッグランじゃないけど、犬は自由に放しながらご飯食べてもらう。(ス:長いリードはつけてもらってます。)
お庭の周囲にネットもついていますね。ボールの心配をせずのびのび遊べますね。
そう。あそこでちょっと野球も軽くできるし、色んな球技ができるから、やっぱり良いですね。あった方が絶対良いです。
●お店を姫路市から山崎町へ移転するにあたっての不安はありましたか?
ないですね。そりゃこっち(奥様)はもうめちゃめちゃあったと思うけど。
そりゃね。ありますよ。前のお店の感じと全然違うし、前は夜ばっかりやったから。お昼メインになると作る内容も違うし、今の形に持っていくまでがね、どうしたものか悩みましたよ。
私もちゃんとしたプランもなかったです。なんかこう、なるようになっていくやろう。みたいな感じで。
ざっくりしたイメージしか言ってこーへんし。ね(笑)。
●お店のコンセプト・地域のお客様の反応
まぁ、ゆっくりのんびりしてもらえる空間というか。
親戚のお家みたいにリラックスできる空間ですよね。将棋盤やカードゲームなどの遊び道具もお客様へ向けたものですか?
そうなんです。お子さん連れで来ていただくお客様も多くいらっしゃるので。ちょっと待ち時間とかに遊んでもらったり。意外に大人の方も遊んでくださったりしています。
結構地元の方も来てくださいます。ちょっとした集まりなんかでも使っていただいたり。
地元の人にも来てほしいし、遠くの人にも来てほしいし。
いろんな人に来ていただけたらいいですね。
●地元食材について。
今日は鹿肉がありましたね。地元のジビエですか?
ジビエがある時もあればない時もあるし、鮎の時期には鮎を出したり。今日はこんなんあるで。って感じですね。今日の鹿肉はカレーの味付けだけど、ただ焼いて出すとかね、塩コショウだけで出すとか、そんな日もあります。ちょっと匂いあったり、ちょっと癖があったりするのがジビエですしね。また季節で脂ののりかたも変わってくるし、毎回違うんで、日々勉強です。
今まで調理したことない食材にも出会いますか?
それはめっちゃあります。姫路にいた時には知らなかった野菜とか。
イノシシや鹿も初めてやったし。マス(※2)もはじめて。
私は野菜部門担当みたいな感じなんですけど、新しい食材見つけたら、悩みます(笑)。買ったり、いただいたりした時に、調理方法とか何に使うのが美味しいか聞いたり。
食べる側としても食材の旬やバリエーションが楽しめるのは嬉しいです。
この地域の食材がどんどん増えていったらいいですね。やっぱり、どうせやったらこの辺で取れたものを出したいなぁ。と思ってます。
お米も美味しかったです!
お米はうちの田んぼで採れたものを出しています。今年は豊作でした。
お店のごはんに使う分は確保して、お店では使いきれないお米は販売しています。
●米作りは、移住されてから始められたんですよね?
初めての農作業で驚いたことや学びになったことはありますか?
驚いたことも学びも全部!もうこれは全部。だって素人やもん。
まずは自治会長さんに相談して。あとは周りの方々みんなに聞きました。…でもみんなに聞いたらあかんかったんです。これが。あの人の考え方、この人の考え方があるから…(笑)
でも、まだくじけず、みんなに聞いてます。
●自分で育てたお米を食べた時の感想は?
それは美味しかったね。
うーん。嬉しいけど、正直最初は美味しくなかったですね。
こっちはそう言うけど、普通に美味しかったと思います(笑)。
これがまた、へたくそなんや。謙遜じゃなく、ほんまに。
4年目の今年は豊作だったとききましたが、収穫量だけではなく味も違いますか?
全然違う。今までと比べたら。
そりゃ今年が一番出来はいいと思いますけど、最初は自分たちが作ったっていうだけでもめちゃ嬉しいじゃないですか。だから嬉しくて美味しく食べましたね。
●お店を締めた後に毎日農作業されているんですか?
田んぼの期間は毎日行くこともあるけど、そんなでもないです。ボーっとしたい時は、ボーっとして。でも、それしすぎたら、結局後で痛い目に合う。あーしまった最悪や!畔もどんどん草生えるし…こまめにこまめにせなあかんのやけどな…って。なんでも一緒やね。目かけ手かけてせんと、結局自分に返ってくるだけものんです(笑)。
お庭の一部分の菜園でも何か育てられてますよね。
あそこは私がしてるんですけど、夏野菜ぐらいやったら私でもできるんで。そこで作ったものをちょっと使ったりしてます。
●地元の方との交流について
どこに住んでも一緒かなと思います。それに、やっぱりコミュニケーションが一番大事でしょうか。ここがうまいこといかんと。長いこと住むならやっぱりね。
うちなんかは通り沿いやから。よくご近所の人から「昨日なんかしとったなぁ」とか(笑)。構われたりするのが嫌な人は無理かもしれませんね。
●移住してきて新しい発見や楽しみができましたか?
新しい発見…田んぼ?
田ぼをされてみてどうでしたか?
私は割と楽しいですけどね。ゼロ知識からなので、これなんやろう?っていうので、いろいろ調べたりするじゃないですか。新しい知識を知るっていうのもあったりして楽しいです。「有機農業教室」っていうのがあって、そこにも月一で通ってます♪教室には、結構長く通われている方とか、高齢の方から赤ちゃん連れの方も来られていますよ。
あと川遊びとか山遊びも移住してきてからの楽しみですね。それこそ営業終了後とかに伊沢川とか揖保川とか、子供を連れて行ったり。
●姫路市と比べて生活の中で大きく変わったことはありますか?
そんなにないな~。
選択肢は狭まるけど、一応何でも揃うし、そんなに大きく変わらないかな。
ここなんかは、10分ほど行ったら商業施設もあるし。街中でもコンビニに行こうと思ったら7分ぐらいかかるでしょ。3つ信号とか待ってたら結局かかる。渋滞状況も全然違うし、ここは信号ないからね。結局はどこでも一緒かなぁ(笑)。
●季節ごとの楽しみや自然とのかかわりについて
さっきの川遊びとか。雪遊びとか。雪は毎年一回はドカッと降るかな。
雪は子供たちが大喜びでした。「かまくら」もつくったんですよ。秋には柿をもらったりとか、春は桜がきれいだし。楽しいですよ。四季を楽しめる。
●これから挑戦したいこととかありますか?
まあ、やりたいことはまだなんぼでもありまし、せなあかんこともたくさんありますよ。
まだまだみんなが笑顔で集まれる場所を作りたいですね。それはもうずっと思ってますよ。
●移住を考えられている方へアドバイスをお願いします。
地元に馴染むことが一番大事なのかな。「一人でいたいから田舎」とか、仙人の様に暮らしたい方はポツンと一軒家でいいと思いますが、こういう地域の中に住もうと思ったら、やっぱりねぇ。
あと、上下水道!こないだ移住してきた人で購入前に上下水道を確認してなくて、えらいかかってましたね。時間とお金と。トイレとか見た目が普通やったみたいです。いざあけてみたら「あれ上下水道うまいこといってない!」
インフラ関係ですね。よく見て具体的に考えたほうがいいですね。
田んぼがついてたら、田んぼをせなあかんで!ってことも!
別に耕作せんでもある程度は大丈夫かな~とか思ってて。こんなにちゃんとせなあかんとは思ってなかったです…。
「田んぼありますよ?大丈夫ですか?できますか?」
スローライフさんも、しっかり確認してくださいね。
ほぼ転用できませんよ。農地を転用するのめちゃくちゃ難しいですよね。しっかり確認した方がいいですね。
でも、作るといいと思います。作って経験してみて、米の大切さや収穫の感動をみんなにわかってほしいな。って。
●山崎町のおすすめスポットを教えてください。
もう「うち」です(笑)。混んでるときは無理ですけど、空いてる時ならキャッチボールもしますし、川へも遊びに連れて行きますし(笑)。(ス:事前にご相談・ご確認くださいね。)
明日もそうやってね、田んぼで遊びます。
普通に来てくださった方が気に入ってくれて、お子さんを連れてちょこちょこ来てくれるんです。
宍粟は魅力がいっぱいです!皆様、ぜひぜひいろんな名所にお立ち寄りください。
「御飯と ちょっと三杯 渡邊」
住所:宍粟市山崎町東下野35-5
電話番号:090-9218-6034
定休日:水曜日・第三火曜日
営業時間:11時~15時頃 夜…要予約
※予約優先・食材がなくなり次第閉店
instagram:https://www.instagram.com/watanabe_sisounite/
ご家族が暮らしを楽しまれているご様子やお店のお知らせなど、Instagramもチェックしてみてくださいね。
今回のレポートは、令和3年1月に物件をご購入いただいた渡邊様にお話をお伺いしました!
お店も、初挑戦のお米作りも、周りの方との交流も、自然体で楽しまれているという印象でした。
以前は姫路市で飲食店をされており、移住先の宍粟市山崎町でも新たに『御飯と ちょっと三杯 渡邊』を始められました。
来られた方に、お食事だけではなく「ここでみんなが笑顔で楽しめることを提供したい」という思いが伝わりましたでしょうか☆お話をきいているこちらもワクワクした気持ちになりました。また、渡邊様ご夫妻もお店の雰囲気も、田舎の親戚のお家のように居心地がよくてついつい長居していましました…。
宍粟市では、登山やハイキングに、キャンプなど豊かな自然を満喫できるスポットが多くあります。 自然と一緒に、地元の味も楽しんでみませんか?『御飯と ちょっと三杯 渡邊』にも立ち寄ってみてくださいね♪
取材日*2025.9.12
※1 学遊館…「生涯学習センター学遊館」は、研修室や木工・陶芸室、宿泊棟、全天候型の多目的広場がある公共施設です。
※2 マス…「味優留(あいする)サーモン」という名称で宍粟市の川で養殖しているトラウトサーモン。ニジマスを品種改良したドナルドソンという希少価値の高い品種を淡水のみで成魚まで育てた山里のサーモンです。卵から成魚まで淡水で育てているので寄生虫などの心配はありません。

















