お仕事の都合で転勤族だった富岡様ご家族。旦那様の早期退職を機に、地元である西播磨に住みたいと神奈川県からUターンをされました。『農業で生計を立てたい!』と近隣の葡萄畑を借りられ、日々畑仕事に奮闘されております。永住されて約8ヶ月。初めての葡萄の収穫を迎えるお忙しい中、お話をお伺いして来ました。


平成17年に佐用町、上月町、南光町、三日月町が合併して誕生した佐用郡佐用町。南北に流れる千種川は全国名水百選、乙大木谷の棚田は日本の棚田百選、南光地域のひまわり畑は全国農村景観百選にそれぞれ選ばれています。ホタルやタガメなど今では貴重な生物も生息しており、豊かな自然の美しさが魅力的で夜空が綺麗な町として環境省が指定する全国108の星空のまちのひとつでもあります。町内にはB級グルメとして知られている名物『ホルモン焼きうどん』のお店が数多く軒を連ねています。


●田舎暮らしをしようと思った考えたきっかけを教えてください。
「きっかけと言うよりは、ゆくゆくは出身地である赤穂市方面に帰って来るつもりだったんです。都会で会社勤めしていたけど、そこにずっと居ようとは思ってなくて、たまたま会社が募集していた早期退職に応募して、それを機に地元に帰ろうって決意しました。」
●どれくらいの期間をかけて物件を探されましたか?
「スローライフさんのHPを見たりして、探していたと言えばずっと探していました。早期退職に応募して、葡萄畑を貸してくれる所が決まってからはとんとん拍子に進んで、実際に住むまでは半年くらいでしたね。本格的に探したのは2~3ヶ月くらいで、結構あっと言う間でした。」


●気に入ってもらえたポイントはどこですか?
「葡萄畑まで通える距離にある物件を探していて、家の状態も良くて、ここが条件に1番合ってていいなと思って決めました。」
「家を買うなら日本家屋以外考えられないと思うくらい、昔からこういう家に住みたかったんです。裏には地続きの畑があって敷地も広くて、静かで駅まで歩いてすぐの環境も良くて、理想通りの物件でした。」
●リフォームにこだわったポイントは?
「ちょっと床がぐらぐらしている所はあるけど、元々の家の造りがしっかりしていて雨漏りもなかったし、綺麗だったのでリフォームはしていません。シロアリの床下点検口を2箇所作ったくらいで、ゆくゆく2階の天井を補強したいとは思ってます。」


●移住するにあたって不安な事はありましたか?
(笑)」「実家も近いし、環境も方言も慣れ親しんだものだったから、不安な事は特になかったですね。」
「私としては、むしろ転勤族だった時の方がこの先どうなるんだろうとか不安でしたね。このまま借家暮らしで終わるのかなと思っていて、ここに来てから自分の家なんだからもう引っ越さないでいいんだ!と思ってすごく安心してます。」
●実際住んでみてどうですか?良かった事、困った事など。
「やっぱり冬は寒い!灯油代が高くついて大変です(苦笑)風通しが良くて、夏の夜は涼しくて過ごしやすいですね。」
「古い木の家は落ち着きますね。周りの環境もすごく静かで、星も綺麗です。私たちが希望していた生活が送れて楽しいです。」



●ご近所、村のお付き合いはどうですか?
「引っ越して来た時に、当番の方が一緒に全部のお宅の挨拶まわりを付き合ってくださったんです。お裾分けをもらったり、分からない事を教えてくれたり…。わりと皆さんあっさりされていて、とても親切です。」
「地区の草刈りとかも、短時間でぱっと終わるんですよ。都市部でも田舎でも自治会はどこでもあるし、だいたいの方は顔見知りだからお付き合いが大変だとか全然思わないですね。あと、葡萄畑を貸してくださってる方もすごく親切なんですよ。新しい農具を使う時に心配して見に来て、いろいろアドバイスをくださるんです。私たちは素人だから何が間違っているかが分からないし、すごく助かってます。」


●たくさんの作物がある中で、何故葡萄農家を選んだんですか?
「自分でもよく分からないんですが、やっぱり自分が食べて1番好きだからじゃないですかね(笑)葡萄畑の風景も綺麗ですし。品種は『紫玉』、『ピオーネ』、『ベリーA』の3種類を作ってます。今年はピオーネを新しく30本植えたので、それが4年後くらいには実がなるかなって感じです。毎年本数を増やして行って、将来的には栽培面積をもう3反増やして全部で6反くらいになったらいいなと思ってます。今年が初めての収穫になるんですが、葡萄の出来はちょっと小ぶりですね。葡萄栽培は本当に難しいです。美味しく出来たかどうかはこれからが本格的な収穫の時期なので、収穫して出荷するのが楽しみですね。本当にここまで出来るとは思っていなくて、何とか出荷までこぎつけそうなのでほっとしています。」


●葡萄の他に何を栽培されていますか?
「裏の畑ではすいか、メロン、とうもろこし、茄子、トマト、ズッキーニ、オクラです。あとは元からあった桃の木も袋がけしてるんですけど、病気にかかりやすいからなかなか難しいですね。あと、借りている畑では大玉トマトとミニトマト、里芋、生姜、さつまいも、すいかを育ててます。」
「いろいろ作ってはいるんですけど、今は葡萄の方に手がかかりっきりでほとんど植えっぱなし状態なんです…。葡萄も1年やってきて何とか分かってきたので、来年は野菜の方にも力を入れて行きたいです。」


 


●ちなみに畑仕事は今までされた事はありましたか?
「転勤で引っ越すたびに、地主さんに耕作が出来るような土地がないか聞いて、空き地を貸して頂いて畑をしていました。神奈川県にいる頃は普及センターにアマチュア向けに農地を貸してくれる制度があって、それに応募して研修を受けたりもしてました。」
●これから挑戦してみたいこと、目標があれば教えてください。
「目標は、まずはとにかく良い葡萄を作って、葡萄でちゃんと生計を立てて行くこと!あとは、栽培面積を増やすことですね。」


●佐用町の良い所、おすすめスポットを教えてください。
「なかなか出掛ける暇がまだなくて、おすすめ出来る所が少ないんですけど、『味わいの里三日月』はおすすめですよ。新鮮な野菜の販売はもちろんのこと、9月は葡萄祭り(今年は9月23日(月)10時~12時の開催だそうです。)と言うのがあって、生産者による葡萄の対面販売とかジュースやアイスなどを販売しています。あとは、一般公開されている望遠鏡として世界最大の望遠鏡がある『西はりま天文台』も良いですよ。今は自宅と葡萄畑の往復ばかりなので、もう少し落ち着いたら私たちもいろんな所に足を運んでみる予定です(笑)」


●最後に、田舎暮らしや農業をしたいと考えている方にアドバイスをお願いします。
「やってみれば何とかなるんじゃないですかね(笑)やるまでが大変だけど、悩んでやらないよりかは、やって悩んで解決して行くのがてっとり早いと言うか、そうするしかないんじゃないかなと思います。あとはある程度お金がないと最初は収入がないかも知れないので、基礎を作ったうえで行動に移すと言うのがポイントですね。」
「タイミングを見計らうって言うのは大事だと思います。農業をやってみたいなと思ったら小さい面積でもいいからやってみる。実際に自分で土いじりをしてみて、『あ、私これ好きかも!』って思えたら本格的に始めてみたら良いんではないでしょうか。相性もありますし、自分がその地域に馴染めるか環境もよく見て判断した方が良いですよ。」



 


連日35度を超える猛暑が続く中、お邪魔させて頂きました富岡様のお宅は敷地内に桃や柿、いちじくなど様々な果樹が植えられた立派な日本家屋でした!家の裏には約200坪の地続きの畑が広がり、井戸をフル活用しながら、たくさんの作物を育てていらっしゃいました(*^-゚)世間的には『農業をしたい!』と旦那様が言い出し、奥様は一切関与しないと言うパターンが多い中で、富岡様の奥様は転勤族の頃からこつこつと畑仕事をされており、農業についても勉強中でとても熱心な方でした。『どこにも出掛けずに朝から晩まで畑しときたい!』と農業への熱意を感じました。ご夫婦で同じ目標を持って農業に取り組んでいるのは珍しいですし、とても素敵だなあと思いました(*^^*)佐用町を選んだのは葡萄畑があって地元の赤穂市にも近かっただけで、たまたまだったそうですが、当時星に興味があった息子さんが『兵庫に行くなら佐用町がいい!』と言っていたそうです。ちょうど取材の前日と前々日はペルセウス流星群が観察出来る時で、軽トラの荷台にマットを敷いて旦那様と息子さん2人で寝転がって1時間に13個の流れ星を見たそうです☆夏の夜は結構寒いそうで、カブトムシが飛んで来た!と、とても和やかな仲の良い富岡様ご家族でした♪ちょうど今、旬を迎えた富岡様の葡萄は『味わいの里三日月』にも出されていますし、下記に掲載しているご自宅でも販売されております。私も収穫前の葡萄を食べさせて頂きましたが、甘くてとても美味しかったです(*>ω<*)気になる方は是非行ってみてくださいね!

『富岡果樹園』さん  兵庫県佐用郡佐用町三日月878-2

TEL・FAX:0790-79-2889

取材日*2013.8.14