大学での土の研究をきっかけに、農業に携わるようになった黒田様ご夫婦。以前はお花の品種開発をする会社でお仕事をされていました。大学やお仕事での経験や知識を活かし、広大な農地でヒマワリをはじめとした切り花栽培を中心に農業に励まれています。


たつの市新宮町はたつの市の北部に位置するまちです。のどかな田畑の風景ときれいな川、緑がきれいな山並みと豊かな自然が残っています。JR姫新線を使えばたつの市の中心部や姫路市へもアクセス良好で、便利に田舎暮らしを楽しんでいただける環境です♪


●物件を探し始めたきっかけを教えてください。
『農業をしよう』と思ったのをきっかけに物件を探し始めました。地域としては岡山県や香川県、兵庫県などですね。
農地と家が近く、物置のある物件が条件でした。

●物件を気に入っていただけたポイントはどこですか?
物件を見て、ここなら農業が出来そうだと思って決めました。
以前は小豆島で栽培していて、気候は良かったんですが陸路じゃない為販売が難しかったんです。
ここは姫路などの都市圏が近く、ある程度の農地も確保できる場所ということで魅力的な場所でしたね!



●お家はどれくらいの期間探されましたか?
1年半くらいですね。
●お家は手直しをされましたか?こだわりはありますか?
水回りはリフォームしました。
お手洗いは汲取り式だったので、入れ替えて浄化槽を設置。浴室も入替えましたが、キッチンは自分で少し直した程度です(笑)
家のこだわりより、いかに効率よく農産物を生産してビジネスを軌道に乗せられるか、というのを重視していました。



●移住するにあたっての不安や心配はありましたか?
周りにどんな方が住んでいるのか全く分からない状況で飛び込んだので、うまくやっていけるかという不安はありました。
後は、農業をするのが目的だったので、土地として農業生産がきちんとできる場所なのかという不安もありました。
こればかりは作ってみないとわからない部分もあるので…



●実際に住んでみて良かったことは?
周りの方に親切な方が多かったことですね。
農業委員会に農地の取得を認めてもらうためには農地が3反以上必要なのに、物件に附属している農地では足りなかったんです。
農地法の申請をするために農地を貸してもらう必要があるけど、突然ぱっと移住してきた自分たちでは農地を借りるのはなかなか難しいだろうと思っていましたが、すぐに快く貸して下さる方がいらっしゃったので問題なく新規就農することが出来ました。



●では、逆に困ったことはありましたか?
ないかなぁ。
とにかく自治会長さんが良くしてくださって、大きな問題は起こらなかったですね。本当に幸せだなぁと思います。

●ご近所の方とのお付き合いも良好そうですね。
良好ですね。
特に問題もなく、色々な面で助けていただいています。
農業に関してもそうですし、子どもが小さいので、学校関係や地区のことを教えていただいたり、着られなくなったこども服をいただいたりしています。



 


●現在はどのようなお花を育てていますか?
ひまわりがメインですね。もうこの時期(5月)には出荷が始まっているので、今日も収穫しました。
売れ行きはお盆やお彼岸の比重が大きく、年間を通してもお盆が1番多いのでお供え用として使えるお花を色々と作っています。
菊がメインで、他にはアスター・テッポウユリ・ケイトウ・キンギョソウ・スターチス・デルフィニウム・トルコギキョウ・キンセンカなどを植えています。
新宮町は思っていたより寒い地域だったので、今年は気候に合った寒さに耐えるお花を考えて試しに色々と育ててみました。



●お野菜も育てているんですか?
そうですね。お花があまりない手が空く時期に作っています。
去年は、作ったさつまいもで干し芋を作って販売しました。他のお野菜もJAの直売所で販売してもらっています。
今は、とうもろこし・さつまいも・白ネギ・里芋・ズッキーニ。
家の近くの畑では自宅用に、アスパラ・にら・ウド・ブロッコリー・レタス・玉ねぎ・ぶどう・ブルーベリーと竹の生えている畑でたけのこを採ったり、きのこの原木を置いたりしています。
夏場は育てているお野菜で賄えるのでほどんど買うことが無いですね(^^♪



●今はどれくらいの農地で作られていますか?
借りているものも含めて2町歩分作っています。
最近新たに5反くらい買い足したのでまた忙しくなりそうです(笑)

●お二人だけでは手が回らないこともありそうですが、今後従業員を雇う予定はありますか?
時期によって波があるので通年で雇うのは難しいですね。
今は、8月のお盆やヒマワリの最盛期など忙しい時期にアルバイトさんに入ってもらっています。その時期になると、1日で3~4人いないと厳しいですね。
近くに県立大学があるので、そこに募集を出して学生さんに来てもらっています。



●農業をするにあたってのこだわりはありますか?
お花もお野菜も一番のこだわりは鮮度です。
お花は畑で採ってからすぐに出すのが一番きれいだと思うし、蕾の状態で収穫するので、蕾から花弁が広がるまでの動きもお客様に伝わればうれしいなと思いますね。
お花の状態の変化も楽しんでもらいたいです。
お野菜は物によって貯蔵した方が甘みが増すようなものもあるので一概には言えませんが、例えばとうもろこしは採った後も呼吸をするので自分の中にある糖分を消費してしまうんです。
なので、採れたてをすぐ茹でて食べるのが一番甘くておいしいと思いますね!



 


●獣害などはありますか?対策は?
やはり、鹿やイノシシは出てきますね。
電気柵の設置はしましたが完全に防ぐことができるわけでもないので、ご近所の猟友会の方に檻を設置してもらって鹿を捕獲してもらいました。

●捕獲した動物はどうしていますか?最近は廃棄処分にせずジビエ料理としていただこうという活動が増えていますが、ジビエ料理を食べたことはありますか?
いただきました。
きちんと処理をすれば、臭みもなくおいしかったですよ。



●農業をしていて良かった事、困ったこと。
困ったことというか、栽培するのはもちろん大変なんですが、輸送に時間がかかることが大変だなぁと感じています。
良かったことはこれから作っていければなと。
生産するだけではなく、農業を伝えたり学んでもらったりする場所を提供していきたいと思っています。
今も、小学校やこども園のこどもに来てもらって、一緒に植えたり収穫したりという活動を少しずつしているので、そういうことをやりがいにしていきたいですね。



●トライやる・ウィーク(※)も受け入れられているんですよね!
一昨年と去年の2回来てもらっています。
自分自身、日常で中学生と関わることがほとんどないので、近くにどのような子がいるのか知る機会になったり、世代の違う人の考えや気持ちを知ることもでき、いい経験になっています。
(※)兵庫県下の中学2年生を対象に行われている5日間の職業体験。

●ほかに地域とつながるような活動は?
最近、消防団に入りました。
忙しく中々参加できていませんが、大晦日の見回りには参加しました。



●田舎暮らしを考えられている方へアドバイスはありますか?
皆さんそれぞれやりたいことが違うだろうしこれといったアドバイスは思い浮かびませんが、自分たちは本当に周りの方に恵まれているなと思います。
よく、『田舎は排他的だ。』なんて言われますが、そうじゃないところもありますよということは伝えたいですね。

●最後にたつの市や新宮町の良いところを教えてください!
自然環境がいいですね。
蝶々もよく飛んでいますし、夏にはホタルもみられます。
川がとてもきれいなので、夏になるとこどもたちはよく川遊びをしていますよ♪



今回のレポートは、平成27年にたつの市新宮町の物件をご購入いただいた黒田様からお話をお伺いしてきました☆黒田様は、奥様と小学生のお子様がお2人、ヤギのドードン君と暮らされています。ドードン君は、新宮町に引っ越してから飼い始めたそうで、広大な農地の草を掃除してくれる強い味方だそうです(^^♪
現在は、約2町歩もの農地をほとんどお二人だけで管理しながらたくさんの種類のお花やお野菜を栽培されています。お花は状態をよく観察してあげないと病気にかかりやすかったり、大きさが悪くなったりとかなり手がかかるようで、繁忙期は寝る時間を確保するのも難しいほどの忙しさのようですが、その忙しさも楽しまれているような笑顔がとても素敵で楽しくインタビューさせていただきました♪
印象に残っているのは、『生産するだけでなく農業を伝えたり学んでもらったりという場所を提供していきたい。』という言葉です!実際に、小学生やこども園のこどもたちと一緒に作付けや収穫をしたり、職業体験を受け入れられたりとたくさんの地域貢献をされています。土に触れる機会が少なくなっている中で、農業について楽しく学べる場があることはこどもたちにとっていい経験になるだろうなと感じました(*^^*)
切り花を長持ちさせる方法も教えていただきましたよ♪お花によってそれぞれのようですが、水をこまめに変えてバクテリアが発生しないようにすることが一番大切なようです。ハイターを入れたり、10円玉を入れたりするとよいというのをよく聞きますが、それも殺菌効果があるためだそうです!そして少しびっくりなのが、種類にもよりますがお砂糖をほんの少し入れると長持ちするお花もあるようですよ☆
今後は、収穫したお野菜の加工食品の販売にも挑戦していきたいとたくさんの目標がある黒田様の今後の活動がとても楽しみです♪
黒田様、お忙しい中貴重なお時間をいただきありがとうございました!

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取材日*2019.5.30