以前から古民家が好きで、そば打ちが趣味だった事もあり、林田町の古民家でお店を開店された井上様ご夫婦。毎日、姫路の自宅から通われており、その日の朝に打ったこだわりが詰まった手打ちの板そば・麦きりを提供されています。お店をするきっかけや今後についてなど、お話をお伺いさせて頂きました。


林田町は姫路市の北西に位置しています。古くは姫路と鳥取を結ぶ因幡街道沿いの宿場町として栄え、林田藩建部家一万石の城下町でした。因幡街道沿いには多数の古民家があり、兵庫県指定重要有形財に指定された林田大庄屋旧三木家住宅や林田藩の藩校・敬業館など、当時の面影を今に伝える文化財が残るのどかな町です。


●田舎でお店をしようと思った考えたきっかけを教えてください。
「元々私も家内も古民家が好きで、いずれは古民家に住みたい、何かしたいと話していたんですよ。そば打ちは趣味でやっていて、その流れからある時期に古民家でおそば屋さんをしたいと思い始めたんです。」
●どれくらいの期間をかけて物件を探されましたか?
「そば店に使える古民家を探すのに、約半年くらいかかりました。主にインターネットで探して、物件を案内してもらって。現地へ行く途中に『あれはどうなんだろう?』って気になる家があったらちょっと寄ってみたりもしてました。」


●気に入ってもらえたポイントはどこですか?
「見た瞬間に『これやな!』と、その場でほとんど決めました。特に私がイメージしていた広さと雰囲気、薪ストーブの感じがいいなーと思って。ちょうど2人でお店をするのにぴったりの広さだったんですよ。」


 


●飲食店の中でも、何故そばの道を選ばれたんですか?
「そば打ちは元々趣味でやっていました。その後、家内の実家がある山形へ行った時に山形の麺文化の面白さを知って、それをいろいろ見ているうちに関西の方でも広めたいなと思ったんです。」
●ちなみに、そば打ちはどこで勉強されたんですか?
「東京の葛飾区にある『江戸東京そばの会』で勉強しました。」


●お店のこだわりを教えてください。
「こだわりだらけなんですが、そば粉は茨城県産『常陸秋そば』と言うもので、生産者が分かる直営農家から江戸東京そばの会に送られたそばの実を、蟻巣石で石臼挽きして届けてもらってます。それだけだと面白くないんで私独自の粗挽き粉をブレンドして、もちもち感を出すようにしてます。あと、麦きりと言うのは山形の庄内地方のうどんを平たく延ばしたもので、これをお店で出しているって言うのもこだわりですね。お出汁も本来私が学んだのは関東の味やったんですけど、関西の人にもなじみやすい味に、私なりにひと工夫しました。醤油とかつおは千葉から取り寄せてます。将来は地産地消をやりたいとは思っていて、いずれ実現させて行けるように近隣の製粉会社の方といろいろ話しさせてもらってるところです。」


 


●レイアウトにもこだわりがあるんでしょうか?
「店内で飾っているものは山形の家内の叔父にお願いして持って来ました。庄内箪笥や食器などは蔵に入っていたもので、漆の器とかも1つ1つ大きさが違うんですよ。柱時計は頂きものなんですが、昔のものって味があって面白いですよね。」


 


●実際来てみて、よかった事や困った事はありますか?
「よかった事はね、地域の方がすごく温かいんです。皆さん親しくしてくれて、非常に温かい人ばかりですわ。困った事はね、ここに住んでいるわけじゃなくて姫路の自宅から通ってるんで、忙しい時なんかは通う時間が勿体ないですね。だいたい朝5時からそばを打ち始めるので、その前の30分って貴重な睡眠時間なんですよね(笑)そばだけなら問題ないんですけど、麦きりを打つのが時間かかるんですよ。」


●林田町のいいところ、おすすめスポットを教えてください。
「おすすめスポットは『林田大庄屋旧三木家住宅』も素敵な建物ですし、『旧因幡街道』も良いですね。私が好きなのは林田川沿いには手付かずの自然が残っていて、特に5月の末から6月の頭は蛍の季節なので、ものすごい数の蛍が飛んでますよ。この店の前にも蛍がよく飛んでいて、そういう自然が残っている良い地域です。」


●これから挑戦してみたいこと、目標はありますか。
「目標は今はそばだけなんですが、将来、田舎料理に挑戦したいとは思ってるんですが、まだ具体的には決まってないので考えなあかんのですけど、せっかく囲炉裏があるので囲炉裏を使えたらいいですね。」


●田舎でお店をしたいと考えている方にアドバイスをお願いします。
「まだ、お店を始めて半年しかたっていないので、アドバイスができる様な立場ではありません。ただし、街中とは違った、お客様がゆっくりとくつろげるような特徴を出したいと考えています。」


 


井上様がおそば屋さんを経営されている古民家は築130年を超える歴史があり、古民家好きの有志が集まり、長い月日をかけて完全再生された建物です(´`*)太い松の鴨居・梁はそのままの姿で使用されています。店内はレトロ感いっぱいのCDプレーヤーからBGMが流れ、柱時計の音が心地良い落ち着いた空間。奥様の山形の叔父様の家から運んで来た庄内箪笥や、こちらの古民家で元々使われていた古民具などが展示されており、昔懐かしい雰囲気が漂い、どこのお写真を撮っても絵になるくらい素敵でした♪取材でお邪魔すると、たくさんのお客様で賑わっており、はるばる遠方から来られるお客様も多いそうです!その日の朝に打ったそば、麦きりを山形庄内地方風の板盛りにしてお客様に提供されています(^ω^)そば粉から出汁に至るまで各県から井上様が厳選した素材のみを使用したこだわりっぷり!私も板そばと麦きりの合い盛りと、ちょうど今日から始まったと言う鴨南蛮そばを食べましたが、手打ちならではの歯ごたえと風味が感じられ、とても美味しかったです(*>ω<*)お食事だけでなく、人と人とを繋ぐコミュニティの場としてもお手伝いをしたいと思われており、会合や勉強会の場としても気軽に使って頂きたいとのことです。毎月第二日曜日はイベントデーとして様々な催しを行われており、今後はイベントデーとは他にそば打ち体験などの色々な催しも予定されてるそうですよ。詳細についてはHPで順次ご案内されるようなので、チェックしてみてくださいね☆奥様は気配りがとても上手な気さくな方で、ご主人様も質問に細かく丁寧に答えてくださり、ほんわかと温かい井上様ご夫婦でした(*^^*)都会の喧騒を忘れて、ゆったりとした時間を過ごせること間違いなしのおそば屋さんですよ♪井上様のこだわりがたくさん詰まったおそばを是非味わってみてください!前日までの予約制となっておりますので、ご来店の際はご注意くださいね!

板そば・麦きり・喫茶・コミュニティ 『和(なごみ)』さん(←クリックするとHPへ飛びます♪)

兵庫県姫路市林田町大堤535
TEL:079-255-8578

営業時間:ランチ 11:30~14:00  喫茶:14:00~17:00
定休日:水曜・木曜
※前日までの予約制

取材日*2013.9.27